吉岡彌生 語録集

■嫁と姑

嫁は他人ではなく、我が子となる人だという覚悟を持って、いたずらに自分の考えを押しつけるのは避けるべきである。
ただ、経験に俟(ま)たねば、分からないこともあるから、そういう点は「こうした方が良いと思う」という程度に注意して、互いの間に隔意(かくい)を作らぬようにすることが嫁と姑の関係を上手に打開してゆく道であると思います。

■学窓を出る若き女性へ

女学校を出た人たちでも。四、五年家庭生活に閉じ込められているとかなり頭は古くなる。
書物を読み、公演を聴き、経済と時間の許す範囲内で出来るだけ勉強し、明日の知識を把握することに努めなければ、歴史の列に遅れるばかりではない。
夫や子ども達にまで骨董品扱いをされるようになる。

■女性と知識

婚約をなさる方々の御紹介には、どなたも生花、茶の湯、お琴、ピアノに御堪能ですと、活版刷りのような文句を並べることが、礼儀となってますが、私はいつも、何故それ以上に、家事経済、育児看護を研究なさった方ですと言わないのだろうと思います。

■彌生式健康法

(1)美人になるには
健康の人は血色が良くて顔に光沢があります。
こういう顔色は栄養がよろしく血液の循環もよくて、常に活動する人において初めて見られることで、はきはきしない引き込みがちな人には見ることは出来ません。
まずこれが美人になる大本でございましょう。

(2)気の持ち方
希望に生きて、あまり悩まないことです。
希望を大きく持って、それに向かって進んで行くことです。
しかし、彼岸に達しないからといって、失望しないことです。
人と対照としないで自分の力でやり、努力して行くのであれば、何も悲観することはないのです。

(3)微笑は長寿の秘訣
何事に対しても微笑して行ける人は、心のくったくもなくいつも朗(ほが)らかです。
かかる微笑の人は必ず長寿を得ます。

■女なることを感謝する点

女を知るものは女なり。女の病気を知悉(ちしつ)し得るものは、女の医師なり。
女と交わり、婦人病者の友となり、精神的に、肉体的に女の友となり得ることを感謝いたし居り候。

■医師のあるべき姿 医師は仁術

医師は単に科学者ではありません。常に精神のふれあいで、本当の人格者でなければなりません。

■彌生人生訓

(1)
悪口を言われたり、陰口をされたようなときには、まず、それを忠告だと思うのが一番よいです。

(2)
世の中に處(しょ)してゆくのは、自分一人だけではない。
多数の人が集って一つの社会ができているのだから、よく周囲を考えて、自分の意見通りにならなくても、ある程度までまげ、調和させる気持ちが必要です。

(3)
何かことがあったとき、あの人があぁ言ったとか、こう言ったとか、決して他人の言動を苦にやみません。
何事も淡々と片付けて、心中に何のわだかまりも残しません。
すべて宵越しの苦労はしないというのが私の心の持ち方であります。

■親の教育

子どもを養うには何でもかまわず飲ませて食わせればよいのでもない。
また、子どもにやたらと小言をつけば躾(しつけ)である訳でもない。
母の指導に成る程と合点するだけの道理がなくてはならぬし、それには先ず何よりも母たるものの修養が必要であります。

■子の感謝

親と意見が合わなかったりすると、母の教育が低いと軽蔑(けいべつ)したり、甚だしきは、頼んで生んでもらったのではないなどと言います。
たとえ低い教養しか持たなくとも、自分はその母によってこんなに立派に育てられたのだ、自分を一人前にするには親の苦労は大変なものであったろうと考え、それに対する心からの感謝を表さねばなりません。

※このページは本記事掛川市「吉岡彌生記念館」に行ってみたの付加情報・補足ページです。

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